独自ドメインを利用して、ネット上にWebサイトを作りそれを表示するためには、「サーバー」と言われる情報を保管しておく場所(装置)が必要になります。
普段私達がネット上で見ている情報や画像などのデータは、サーバーというコンピューター内に保管されているわけです。
そして、その「サーバー」にも、用途に応じて様々な種類があります。
コチラでは、共用レンタルサーバーや専用レンタルサーバー、クラウドサーバー・VPSといった、種類の違うサーバーについての情報、それぞれの違いやメリット・デメリットについてご紹介していきます。
サーバーとは何?
まず、「サーバー」とはなんでしょう?
インターネットなどのネットワーク上で、個人や会社などのパソコンやスマホなどのデバイスからのリクエストに基づいて、様々な情報やサービスを提供するコンピューターのことを言います。
ネットワーク上でデータを提供している側を「サーバー」と呼び、リクエストの信号を送っている側のパソコンやスマホなどのデバイスのことを「クライアント」と呼びます。
例えば、あるファッションサイトを見たい時、「Webブラウザ」にURLを入力します。
(通常はgoogleなどの検索を利用しますけど、ここではわかりやすく書いています。)
その時、「クライアント」は、Web上のIPアドレス(実生活でいう住所のこと)を管理しているサーバーに、そのファッションサイトのIPアドレスを問合せて表示するようリクエストしているのです。
その「クライアント」からのリクエストに基づいて、Webサイトのページや画像などのデータを提供するのが「サーバー」ということになります。
レンタルサーバーとは何?
「レンタルサーバー」とは、文字通り「レンタル(借りる)」する「サーバー」ということになります。
サーバー業者は、Webサイトなどの情報を広く公開したい個人・会社・団体に、情報を保管する場所(サーバー)を提案します。
情報を公開して広めたい個人・会社・団体は、その場所(サーバー)をレンタルするわけです。
中には、「サーバー」を自宅や自社で構築したり運営するケースもあります。
但し、インターネットは24時間365日休みなく繋がっているため、サーバーも24時間休みなく稼働させる必要があります。
サーバー設置のための場所や費用、ノウハウ、管理費、電気代、メンテナンス費用を考えると、独自サーバーを構築するのは容易ではないのです。
そこで、専門のサーバー業者から、サーバーをレンタルするわけです。
サーバーの種類について
「サーバー」には、扱う情報やサービスによっていくつかの種類があります。
例えば、メールなどを送受信したり管理したりする「メールサーバー」、Webサイトや個人のブログなどのWebコンテンツが表示される「Webサーバー」、IPアドレスやドメインを結びつけるための「DNSサーバー」、ファイルなどを転送するための「FTPサーバー」などです。
私達が普段インターネットに接続して見るWebサイトは、どこかの「サーバー」にアップされ保管されているサイト情報にアクセスしているのです。
PCやスマホに届くeメールも、どこかの「メールサーバー」から届くのです。
このように、インターネットに接続してサイトを見たり情報を受信したりするためには、何らかの役割を持った「サーバー」が必要になってくるのです。
共用サーバーと専用サーバーの違いは?
「レンタルサーバー」を大きく分けると、「共用サーバー」と「専用サーバー」の2種類のサーバーがあります。
「共用サーバー」の場合は、複数の個人や企業が同じサーバーを利用しているので、IPアドレスも共用になります。
同じ住所内(IPアドレス)に、複数の個や企業が同居(シェア)しているというイメージになります。
共用サーバーについて
「共用サーバー」の長所は、サーバーを他者と共用しているので、安いコストで借りられる事です。
ドメインやSSL設定などを行えば、HTMLファイルなどをアップロードすることで、直ぐにWebサイトを公開できます。
「共用サーバー」では、設定やアプリケーションは既に用意されているのを使用することになり、カスタマイズなどを自由に行うことは出来ません。
そして、一つのサーバーを複数のユーザーと共用するので、他のユーザーの影響を受けることもあります。
例えば、他のユーザーのアクセスが多くなると、サーバーの動きが鈍くなったりすることもあります。
また、サーバーによっては、ドメイン登録数やデータベースの設置数に上限がかけられていたりします。
専用サーバーについて
「専用サーバー」の場合は、1台のサーバーを1ユーザーが借り入れて占有するサーバーです。
そして、IPアドレスは、借りているユーザーだけが専用で使用できるアドレスになります。
ハイスペックなので、「共用サーバー」と比較すると必然的にコストが高くなってしまいます。
「専用サーバー」は管理者権限(root)があるので、OSや自分の好きなアプリケーションなどを自由に選ぶことが出来ます。
また、「物理サーバー」を丸ごと占有できるので、他のユーザーの影響を受けることはありません。
思い込みのSEO対策について
ちなみに、以前は、共用サーバー内に悪さをする(例えばスパム攻撃)誰かがいると、同じIPアドレスを使用している他の共用ユーザーにも影響が及び、SEO的に打撃を受けるとよく言われていました。
ですから、お金に余裕のある人は、自分一人だけが利用できる「専用サーバー」を借りて、SEO的に優位に立とうとしていました。
ところが、googleは、「世の中の殆どのサイトが共用サーバーを利用している」ということで、この「思い込みのSEO対策」を否定しています。
ということで、「共用サーバー」と「専用サーバー」では、優位性に違いはないようです。
レンタルサーバーとクラウドの違いは?
最近は「クラウド」という言葉をよく聞きますが、「クラウド」も実は「レンタルサーバー」の一種です。
では、「共用/専用サーバー」と「クラウドサーバー」にはどのような違いがあるのでしょうか?
まず、「共用サーバー」は「シェアハウス」、「専用サーバー」は一軒家(借家)、「クラウドサーバー」は「マンション」に例えられることが多いです。
「共用サーバー」は、一台のサーバーを複数の個人や企業で共用していることが多く、そのレンタルした「Webスペース」にそれぞれ1~複数のサイトを運営しています。
「シェアハウス」は、中に個々の部屋を借りますが、基幹部分の水回りやダイニングルームなどは共用して使っています。
「共用サーバー」も同じで、個々の「Webスペース」をレンタルしますが、基幹部分の「CPUやメモリー」などは共用して使っています。
「専用サーバー」は、丸ごと占有できるので「一軒家」ということになりますが、レンタルなので「借家の一軒家」ということです。
クラウドサーバーについて
「クラウドサーバー」は、一台のサーバーの中に、それぞれ独立した仮想サーバーを作成することが出来ます。
そして、それぞれの仮想サーバー内に、運用するための環境を作り上げる必要があります。
「共用サーバー」とは違い、自由な設計やアプリケーションのインストールなど、利用しやすいように自分で構築することが出来ます。
また、下記に述べる「VPS」と似た仕組みのサーバーですが、より柔軟に構成を変えることが可能で、自由度も高いサーバーになります。
それぞれが独立した仮想空間なので、マンションに例えられるのです。
では、VPSとは何?
細かく言えば、「レンタルサーバー」には「VPS」という「サーバー」もあります。
正式名は「virtual private server(バーチャル・プライベート・サーバー)」で、訳すると「仮想専用サーバー」になります。
「VPS」は、「共用サーバー」と「専用サーバー」の中間のようなサーバーになります。
1台のサーバーを複数のユーザーでシェアするのは「共用サーバー」と同じですが、サーバー上にユーザーごとの専用の領域を持っています。
他のユーザーのユーザーの影響をほぼ受けない設計になっており、「専用サーバー」並にスペックが高い「レンタルサーバー」です。
但し、専用サーバーほど自由度は高くなく、利用できるOSなどは制限されている事も多いです。
「VPS」は、一つの物理的サーバーで、2つ以上の仮想サーバーを動かすことが出来ます。
インストールされているホストのOSに、それぞれのユーザーのOSがインストールされており、ユーザーは管理者権限(root)を持って自由に操作することが出来ます。
FX専用VPSとは何?
VPSの一種で、最近良く耳するのが「FX専用VPS」です。
FXの「EA(Expert Adviser=自動売買プログラム)」を利用する人は、この「FX専用VPS」をレンタルして売買を行ったりします。
FXの場合、土日や祝日を除けば24時間相場が動いています。
自動売買を行うと、相場が動いている間は継続して動かす必要があります。
それを個人のPCから行うと、PCに大きな負担をかけることになり故障する可能性も出てきます。
また、個人のPCからアクセスした場合、PCのシステムダウンやプロバイダーの障害など、不測の事態が起きることがあります。
OSのアップデートなども「休止設定」や「再起動しない設定」にしておかないと、自動的に再起動され困ったことになることもあります。
アクセスができなくなった場合、自動売買ソフトが自動的に止まり、大損を被ってしまうことにもなりかねないのです。
そこで、不測の事態に巻き込まれないために、「VPS」という仮想空間を借りてソフトウェアを24時間休みなく動かすのです。
リモートデスクトップとは何?
「VPS」では、「リモートデスクトップ」接続という方法を利用できます。
「リモートデスクトップ」接続とは、簡単に言うと「遠隔操作」で手持ちのデバイスから遠隔地にあるパソコンやサーバーに接続する方法です。
外出先からでも接続することができて操作もできる、非常に便利な接続方法です。
下の画像は、お名前.comのFX専用「VPS」を利用して、自分のWindowsPCに仮想のOSをインストールした画像です。
Windowsの中に、仮想のWindowsが存在する形になっています。
お名前.comのFX専用「VPS」は、MetaTrader4(MT4)を快適に利用するためだけに特化したサービスになります。
表面上は、自宅のPC上の「MT4」でのFX取引を行っているように見えますが、実際は遠隔操作でお名前.comの「VPS」上で「EA」を動かしています。
VPSを起動したままにしておけば、自宅のパソコンの電源をオフにしても「EA」は止まらず稼働しています。
若干のコストはかかりますが、PCの故障で止まったり、プロバイダーの障害による不測の事態は回避することが出来ます。
各サーバーのメリット・デメリットについて
各サーバーの「メリット」「デメリット」について、下記にまとめてみました。
共用サーバーのメリット・デメリット
共用サーバーのメリット・デメリットは、下記になります。
- 利用料金が安い
- 申し込んでからすぐに利用できる
- 専門的な知識はいらない
- 複雑な管理・運用業務が不要で、ランニングコストが抑えられる
- 複数ユーザーとの共用なので、管理権限がない
- 基本的なスペックの変更やカスタマイズなどが出来ず、自由度が低い
- 他ユーザーのサイトやシステムの影響を受けやすい
- 大規模なサイト構築には向いていない
専用サーバーのメリット・デメリット
専用サーバーのメリット・デメリットは下記になります。
- 利用者がサーバーを占有できるので、安定したサイト運営が出来る
- 共用サーバーに比べると、高スペックである
- ユーザーが一人なので、サーバーの管理権限がある
- OSやアプリケーションなどのカスタマイズが出来、自由度は高い
- 利用料金が高くなる
- サーバーの管理権限があるため、ある程度の専門知識が必要になる
- 準備に時間を要するため、申込みから運用まで時間がかかることがある
- 定期的なメンテナンスが必要
クラウドサーバーのメリット・デメリット
クラウドサーバーのメリット・デメリットは、下記になります。
- 自社でサーバー環境を整えるより、ずっと安価で利用できる
- 必要に応じてCPUやメモリの拡張や縮小ができ、自由度が高い
- VPSと似た仕組みだが、柔軟に構成を変更でき、より自由度が高い。
- 専用サーバー同様に、負荷の高い処理にも対応できる
- 従量課金制であることが多く、利用した容量分だけの支払いが可能
- レンタルサーバーやVPSに比べると、やはりコスト高になる
- 誰からもアクセスできる可能性があるので、セキュリティリスクは生じる
- 従量課金制なので、急激にアクセスが増えた場合は料金が上がることもある
VPSのメリット・デメリット
VPSのメリット・デメリットは、下記になります。
- 初期費用が無料のことが多く、専用サーバーに比べると比較的料金が安い
- 管理者権限が割り当てられている
- 専用のメモリ・CPUが割り当てられている
- 他のユーザーの影響は受けにくい
- カスタマイズ性が高く、比較的自由に設定可能
- 共用サーバーに比べると割高になる
- 専用サーバーではないので、他ユーザ―の影響を受ける場合もある
- 専用サーバーに比べると自由度が高くなく、利用できるOSなどは制限されている事も多い
- サーバー構築を自分で行うため専門知識が必要になる
- 定期的なメンテナンスが必要である
まとめ:それぞれのサーバーの特徴
共用/専用レンタルサーバー、クラウドサーバー、VPSの特徴を表にまとめてみました。
項目 | 共用レンタルサーバー | 専用 レンタル サーバー | クラウドサーバー | VPS |
---|---|---|---|---|
初期費用 | 安い | 高い | 無料も多い | 無料も多い |
月額料金 | 安い | 高い | それなりの価格 | それなりの価格 |
使いやすさ | 簡単 | 難しい | 難しい | 難しい |
カスタマイズ | 自由度が低い | 自由度が高い | 自由度が高い | 自由な設定が可能 |
外部の影響 | 受けやすい | 受けにくい | 受ける可能性もある | 受ける可能性もある |
利用の用途 | 個人ブログ 中小企業のWebサイト アフィリエイトサイト | SNSサイト 大規模サイト アクセスが多い企業のサイト | 大規模サイト ECサイト コーポレートサイト | ストリーミングサーバー ゲームサーバー チャットサーバー FXの自動売買用 |
それぞれの用途により向き不向きがあります。
費用やカスタマイズ性・使いやすさなどを総合的に比較して、一番適切なサーバーを選びましょう。